レッド・ステイツの真実 ――アメリカの知られざる実像に迫る

レッド・ステイツの真実 ――アメリカの知られざる実像に迫る

西森マリー『レッド・ステイツの真実』より、引用しておきます。内容をその後追加しました。

p72。


この章では「under God」をめぐる法的争いに関して説明させていただくつもりですが。本題に入る前に、大多数のアメリカ人が「社会主義」を嫌う理由をおさらいしておきましょう。

アメリカ人の多くが社会主義を嫌う最大の理由は、大きな政府が様々な側面を取り締まる社会主義社会には個人の自由が存在しないからです。

p73。


キリスト教徒の多くが社会主義を嫌う最大の理由は、マルクス唯物論は神の存在そのものを否定するものだからです。


ソ連共産主義ですが、共産主義社会主義の延長線上にあるので、多くのキリスト教徒は「社会主義」という言葉を聞いたとたんに反射的に宗教弾圧を思い浮かべてしまうのです。

アメリカ人の多くが「社会主義」「共産主義」を生理的に受け付けない、という事実が分かったところで、本題に入りましょう。

上掲の引用をよく覚えておくことがあとで重要になります。「第二十一章 疎外感を味わう保守派キリスト教徒」の叙述を読むときに少し注意が必要になるからです。p263。


この一言と様々な調査結果が物語っている通り、少なくともここ数年のアメリカのメディアは圧倒的に「左寄り」なのです。

というときの「左寄り」は、日本での「左寄り」とは異なっており、「社会主義共産主義寄り」を意味しないことがわかります。アメリカ人の多くはそれらを生理的に受け付けないはずなのですから、メディアが「圧倒的に社会主義共産主義寄り」になどなるはずがないからです。ここでの「左寄り」は「オバマ寄り」「民主党寄り」「リベラル寄り」のことにすぎません。

したがって、それ以降この章で「左翼」「左派」「極左」などの形容詞が出てきた時も、それらは社会主義共産主義」的であることを意味しないと読むのがおそらく妥当です。著者は、日本の読者が「社会主義的・共産主義的」の意味として読みかねないことを知って、この章で意図的に印象操作しているのではないかと思われます。その疑いがあります。読むときに注意が必要な箇所だと思いました。いずれにせよ「米民主党寄り」の立場のことを「左翼」「左派」などと定式化するのは通常の用語法ではまったくありません。